コラム

クリヴォーネスタッフより

楽しさと厳しさの優位性とは

2025/09/29
サッカー指導における「楽しさ」と「厳しさ」の優位性について

サッカーの指導において、「楽しさ」と「厳しさ」はしばしば対立する考え方のように捉えられる。しかし、実際には両者は相関的な関係にあり、一方を完全に優位とすることは難しい。ただし指導の目的や年代、チームの状況によって、どちらを優先すべきかの比重は変化する。本コラムでは、それぞれの意義を整理した上で、最終的にどちらがより優位性を持つかについて論じるてみたい。

楽しさの意義

サッカーは本来「遊び」から発展したスポーツであり、選手が楽しさを感じることは継続の前提条件である。特に育成年代においては、楽しさがなければプレー意欲は生まれず、技術や戦術の習得にも結びつかない。練習や試合での成功体験、仲間との協力、ボールを扱う喜びは選手を成長へ導く重要な要素である。楽しさがあることで選手は主体的にプレーに向き合い、創造性や積極性も育まれる。したがって、サッカーの入り口において「楽しさ」は不可欠であり、指導者はまずそれを保証しなければならない。

厳しさの意義

一方で、サッカーは競技スポーツであり、勝敗が存在する以上、厳しさを避けることはできない。厳しさとは単なる叱責や強制ではなく、目標達成に向けた基準の高さや自己規律の要求を意味する。例えば戦術理解、体力的な限界への挑戦、ミスを修正するための集中力などは、厳しい環境である方が培われやすい。特に高いレベルを目指す選手にとっては、この厳しさを受け入れ乗り越えることが成長に直結する。楽しさだけでは甘えが生じ、競技力の向上が停滞する危険性がある。

両者の関係性

実際の指導現場では、「楽しさ」と「厳しさ」は二つは対立関係ではなく、複雑に絡み合いながら同時に存在する。楽しさがあるからこそ厳しい練習にも取り組む意欲が生まれ、厳しさを乗り越えた先にさらなる楽しさが待っている。この2つを同時に設計することこそ指導者の役割である。例えばゲーム性を持たせた練習は「楽しさ」と「厳しさ」を両立させ、達成感を伴う成功体験へと導く。

結論として、優位性を持つのは「楽しさ」である。なぜなら、楽しさは選手をサッカーに引き込み、長期的に継続させる原動力だからである。厳しさは成長に不可欠であるものの、楽しさがなければ厳しさを受け入れる土壌そのものが失われる。すなわち、楽しさが基盤となり、その上に厳しさを適切に配置することで、指導は効果を発揮する。指導者は両者のバランスを見極めながらも、最終的には「楽しさ」を優先する姿勢を持つべきである。
 

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